異所性心房調律と移動性ペースメーカーの違いとは?
異所性心房調律と移動性ペースメーカーの違いとは?
本来であれば心臓を収縮させるペースメーカー(司令を出す場所)は右心房にある洞結節という場所から出ています。しかし、中にはペースメーカーが洞結節ではなく他の場所からでる場合もあります。
ペースメーカーの場所が一定している場合は異所性心房調律、ペースメーカーの場所が一定せず移動している場合は移動性ペースメーカーと呼ばれています。
異所性心房調律とは?
洞結節以外の場所から調律がみられる場合を異所性心房調律といいます。調律がみられる部位としては左房や冠静脈洞で頻度が高いといわれています。
長期持続している場合でも自覚症状を伴うことは少なく、通常、血行動態に悪影響を与えることはないため特別な治療は必要ありません。
よくある患者背景
若年者に多く迷走神経緊張などにより一過性に生じることが多いですが、稀に左上大静脈遺残、下大静脈欠損などの先天性異常に伴う場合があります。
異所性心房調律の波形のポイント
- 心拍数は正常範囲
- 左房調律ではⅠ、V6誘導のP波は陰性となることが多い
- 下部心房調律ではⅡ、Ⅲ、aVF誘導でP波は陰性となることが多い
移動性ペースメーカーとは?
移動性ペースメーカーは(多発性心房調律:multifocal atrial rhythm)心房内に複数生じた異所性の興奮起源からのランダムな放電によって引き起こされる絶対不整脈の調律です。
絶対不整脈の調律ですが移動性ペースメーカーは形の異なるP波を確認することで心房細動と鑑別ができます。
通常、血行動態に悪影響を与えることはなく特別な治療は必要ありません。
よくある患者背景
移動性ペースメーカーは病的意義は乏しく、健常人でも小児や若年者、アスリートなどに生じます。
その他、迷走神経緊張や肺疾患に加え低酸素症、アシドーシス、テオフィリン中毒などの患者に見られる場合もあります。
移動性ペースメーカーの波形のポイント
- 正常洞調律とは異なるP波(異所性P波)が一定期間連続的に認められる
- 心拍数は100/分以下
※興奮発生部位が下位心房へ移動するほどⅡ、Ⅲ、aVF誘導のP波は陰性が顕著となり、房室結節に近づくほどPQ間隔は短縮します
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