PAC(心房期外収縮)の心電図の特徴や発見時の対応について解説

PAC(心房期外収縮)の心電図の特徴や発見時の対応について解説

PAC(心房期外収縮)は健康な人にも出現すると言われており、臨床現場でも多くみられる不整脈です。このサイトでは心電図が苦手な人にもわかりやすい波形の読み方の解説、PACを見つけた時の対応について解説していきます。

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PAC(心房期外収縮)とは?

基本の心周期より早いタイミングで心房から興奮が出現し、心房が収縮する不整脈です。本来は洞結節から興奮が出現しますがPAC(心房期外収縮)の場合、心房内で興奮が出現し、本来のルートから伝わらないためP波の形が異なります。 P波の形状は興奮の出現が洞結節から離れるにつれて洞調律時のP波と異なります。

心房下部・冠静脈洞近傍から発生する期外収縮ではⅡ,Ⅲ,aVf誘導で陰性P波となり、左房起源の期外収縮ではⅠ,aVl,V5,V6誘導で   陰性P波,V1,V2誘導で陽性P波となります。

SVPC(上室期外収縮)とは?

期外収縮は興奮が発生する部位によりPAC(心房期外収縮)PVC(心室期外収縮)房室接合部期外収縮の3つに分けられます。しかし、モニター心電図上だけでPACと 房室接合部期外収縮 を判別するのは困難なため、二つ合わせてSVPC(上室期外収縮)といいます。
しかし臨床現場ではSVPCはあまり活用しておらず、PVCとPACで判別しているところが多いです。

PAC(心房期外収縮)の原因

PAC(心房期外収縮)は健康な人にもみられる一般的な不整脈です。カフェイン、アルコール、不眠、喫煙、ストレスなど生理的な原因によって起こります。

PAC(心房期外収縮)波形のポイント

画像引用:https://note-nurse.com/post-66/

①洞調律よりP波が早く出現する
②早期に出現したP波の形が異なる

PAC(心房期外収縮)観察のポイント

1、出現頻度

散発性
1分間に1回未満、または1時間に29回以下
頻発性
1分間に1回以上、または1時間に30回以上

PAC(心房期外収縮)を見つけたときの対応

一般的にはPVC(心室期外収縮)より危険度が低く、緊急に対応しなければならない不整脈ではありません。ただし、多発する場合はAFL(心房粗動)上室頻拍に移行するリスクがあります。基礎疾患や病態を確認して誘因を確認することが大切です。

PVCとPACの危険度の違いについて

心房は心室の収縮の補助的な役割をしていますが、心室のうち左心室は全身に血液を送る重要な役割をします。そのためどちらかと言うとPVC(心室性期外収縮)の方が危険性を持ちやすいです。

非伝導性上室性期外収縮(blocked PAC)とは?

画像引用:https://note-nurse.com/blocked-pac/

一般的なPAC(心房期外収縮)は心室へ、通常のルートを通って刺激が伝わっていくためQRS波は正常な波形をしています。しかし、早期に出現したP波が先行するT波に重なるとQRS波が確認できない状態になります

QRS波が確認できない理由とは?

心筋細胞には一度興奮するとそのあとしばらく刺激に反応できなくなる間があります。この時期を不応期と呼びます。PAC(心房期外収縮)が早期に起こると、房室結節またはヒス束の不応期にぶつかります。とくに房室結節は不応期が長く刺激が心室に伝わるのを防いでしまいます。これによりQRS波は確認できなくなります。

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