心筋炎でおこる心電図の波形変化の特徴とは?
心筋炎とは?
心筋炎とは心臓の筋肉に炎症が生じた状態をいいます。
心筋に炎症がおこる原因としてウイルス性が最も多く、他に細菌、毒素、薬剤性、膠原病(強皮症、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ)、免疫異常(巨細胞性、好酸球性、サルコイドーシス)などがあげられます。
心筋炎には急性、慢性、劇症型とさまざまなタイプがありますが、その中でも劇症型心筋炎は心臓の機能が極端にかつ急激に低下し、全身の循環が保てなくなりショックになる危険な状態のため注意が必要です。
心筋炎の検査では胸部レントゲン検査、心臓超音波検査、心電図検査、血液検査などを行いますが、その中でも心電図は心筋炎において最も感度の高い簡易診断法となります。また経過と共に異常所見が明瞭になるため心電図検査を繰り返す必要があります。
異常所見の頻度としてはST-T異常と心伝導障害が最も多く、QRS波の幅が徐々に拡張してきたら悪化の兆しといわれています。また致死性の不整脈の出現するリスクもあるため継続的なモニター監視が必要になります。
心筋炎の症状
- 発熱、咽頭痛などの風邪症状
- 下痢、嘔吐
- 呼吸苦
- 胸痛
- 不整脈による動悸や失神
心筋炎の治療
治療は心不全や不整脈などの症状に対する対症療法が中心となります。また循環を維持できない場合には人工心肺装置、左心補助装置を使用する場合もあります。
心筋炎の心電図のポイント
心筋炎で心電図変化は必発しますが特異的な波形変化はないです。ただし心電図波形は経時的に変化するため時間をおいて再検査は必要となります。心電図所見としては下記が認められます。
1、ST-T異常
ST変化は上昇、低下、陰性T波などがみられます。心膜炎を合併すれば上記の心電図のように広域でST上昇がみられたり、心嚢液が貯留した場合はR波減高が認められます。
2、心伝導障害
心筋炎では心房と心室をつなぐ房室結節の周囲で炎症が起こることで伝導障害が生じる場合があります。主に房室ブロックや脚ブロックなどの波形変化が出現します。
→房室ブロックの心電図波形のポイントを別の記事でみる
→脚ブロックの心電図波形のポイントを別の記事でみる
3、致死的不整脈
致死的不整脈には心室頻拍と心室細動があります。
どちらも心室期外収縮(主にRonT)から移行し出現する場合が多いです。
→心室頻拍の波形のポイントを別の記事でみる
→心室細動の波形のポイントを別の記事でみる
4、QRS幅の拡大
不整脈の出現頻度は?
不整脈の出現頻度は高度な房室ブロック26%、心室性期外収縮19%、心室頻拍9%、心室細動7%という報告があります。
不整脈の出現は心筋炎で重要な心電図変化となるため継続的なモニター監視は必須となります。
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