等頻度房室解離と完全房室ブロックの違いとは?

等頻度房室解離と完全房室ブロックの違いとは?

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等頻度房室解離とは?

房室解離とは心房と心室の興奮が互いに独立している状態を指します。

さらに等頻度房室解離とは何らかの障害により心房と心室の房室解離が生じているが、洞結節の興奮頻度と房室接合部調律の出現頻度がほぼ等しい状態を指します。

等頻度房室解離の波形のポイント

  • P波とQRS波は独自のリズムで規則的に出現している
  • PP間隔とRR間隔は違うがほぼ等しい(PP間隔≠RR間隔)

等頻度房室解離の誘因

  • 洞結節からの興奮発生頻度が房室接合部や心室の興奮発生頻度より遅くなる
  • 房室接合部や心室の興奮発生頻度が亢進し洞結節からの興奮発生頻度より早くなる
  • 上記の2つが組み合わさった状態

等頻度房室解離の発生機序を解説

ペースメーカー細胞とは?

心臓ではペースメーカー細胞と呼ばれる部位が電気刺激の発信源の役割を果たしています。

本来であれば洞結節から電気信号が伝わるようになっていますが、電気信号が何らかの障害により途絶えると洞結節→房室結節→心室の順にペースメーカー細胞が働きます

ペースメーカー細胞は自身が発生する電気信号より速い電気信号を認識すると、電気信号を発生させるのをやめてしまう性質を持っています。

等頻度房室解離のメカニズム

電気刺激の機序

等頻度房室解離ではこのペースメーカー細胞の働きが関係しており、何らかの障害により洞結節→房室結節→心室の順が崩れている状態です。

電気刺激の流れとしてはP波の興奮到達前に接合部調律の興奮が発生した状態で、洞結節の興奮頻度と房室接合部調律の出現頻度がほぼ等しい場合に等頻度房室解離が認められます。

完全房室ブロックとの鑑別方法

等頻度房室解離と同じように洞結節からの刺激伝達障害により心房の興奮が心室に伝わっていない不整脈として完全房室ブロックが挙げられます

それでは等頻度房室解離と完全房室ブロックの鑑別方法とは?

完全房室ブロック
完全ブロックの画像 画像引用:https://www.ecg-cafe.com/cat2/2-15

完全房室ブロックは心房から心室への興奮伝導が完全にブロックされている状態を指します。
そのためP波とQRS波がそれぞれ独自にリズムを刻むためPQ時間不規則になります。

また完全房室ブロックは心房からの興奮伝導がないことにより、房室結節のペースメーカー機能が働きQRS波(補充調律)が出現します。そのためQRS波の出現頻度はP波より少なくなります

つまり完全房室ブロックの特徴をわかりやすくまとめると…

  • P波とQRS波は独自のリズムで規則的に出現している
  • PP間隔≠RR間隔
  • QRS波の発生頻度はP波より少ない(QRS波<P波)

それに対し等頻度房室解離は心房から心室への興奮伝導はブロックされていない状態を指します。
何らかの障害により洞結節と房室結節からほぼ同時に電気信号が発生している状態にあるため、P波とQRS波のリズム、出現頻度はほぼ等頻度となります。

完全房室ブロックとの違いをわかりやすくまとめると…

  • P波とQRS波は独自のリズムで規則的に出現している
  • PP間隔≠RR間隔
  • QRS波とP波の発生頻度はほぼ等頻度

アイコンキャッチ画像:著作者:cookie_studio/出典:Freepik

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