肥大型心筋症と心尖部肥大型心筋症の心電図の特徴とは?
肥大型心筋症とは?
肥大型心筋症とは原発性の心筋肥大をきたす心筋疾患で、指定難病に分類されています。肥大型心筋症は「心室中隔の非対称性肥大を伴う左室ないし右室、あるいは両者の肥大」と定義され左室拡張機能低下を呈します。
分類
主に左室流出路の狭窄の有無によって分類されます。また心室中部での内腔狭窄を認める心室中部閉塞性心筋症、心尖部のみに心筋肥大を認める心尖部肥大心筋症などがあります。
原因
心筋収縮関連タンパクの遺伝子異常が主な原因となります。
症状
肥大型心筋症では無症状の場合が多く、たまたま検診で心雑音や心電図異常をきっかけに診断にいたるケースが多いです。症状を有する場合は下記のような症状が出現します。
・動悸
・めまい
・労作時の呼吸困難、胸部圧迫感
・重篤な場合は失神
治療
多くの肥大型心筋症の患者は競技スポーツなどの過激な運動は禁止されます。有症者の場合は左心室を拡がりやすくするためにβ遮断薬やカルシウム拮抗薬を使用します。
不整脈の出現など症状が重篤な場合は植え込み型除細動器の対象となる場合があります。また左室流出路狭窄の著しい例ではカテーテル治療や、外科的に厚くなった心筋を切除する場合があります。
予後
5年生存率91.5%、10年生存率81.8%といわれています。死因として若年者は突然死が多く、壮年~高齢者では心不全や塞栓症が主な原因といわれています。
肥大型心筋症の波形のポイント
心電図波形は基本的に左室肥大の変化と変わりませんが、左室高電位(V5、V6の高いR波、V1、V2の深いS波)やストレイン型変化がより著名にあらわれます。
また異常Q波の出現や心室内の伝導障害を生じたQRS波の幅の延長を認める場合があります。
心尖部肥大型心筋症の波形のポイント
心尖部肥大心筋症ではさらに特徴的な心電図波形変化が現れ、1.0mvを超える巨大陰性T波が出現します。
- 心尖部に近いV4を中心に巨大陰性T波があらわれる(1.0mvを超えるT波)
- V5、V6のR波増高(左室高電位)
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