心筋梗塞の心電図変化 hyper acute T waveとは?
hyper acute T waveとは?
hyper acute T waveとは心筋梗塞の超急性期にみられる波形変化です。ST上昇が認められる前に心電図上に波形変化として表れます。
では超急性期はどのくらい超急性期なのか?
時間で表現するとhyper acute T waveは心筋虚血が起こってから2分~30分で出現します。その後、心筋虚血が発症してから12時間以内にJ点が上昇してST上昇が認められます。またT波は左右非対称かつ陰性となり冠性T波が出現します。
またhyper acute T waveは心内膜下虚血のみで心筋細胞は障害されていないこともあるためトロポニンなどの心筋逸脱酵素は陰性のことがあります。
hyper acute T waveの波形のポイント
- 梗塞部位に一致した誘導に左右対称性のT波増高・先鋭化が認められる
hyper acute T waveと間違えやすい心電図波形とは
1、テントT状波
テント状T波は高カリウム血症で認めらえる心電図変化です。
鑑別方法としてテント状T波は左右非対称なのに対してhyper acute T waveは左右対称なT波が認められます。また簡単な方法として実際に血液ガスなどでカリウムの値を測定してみることが挙げられます。
波形で鑑別する場合はhyper acute T waveの場合は時間経過とともにST上昇し、冠性T波や異常Q波といった通常の急性心筋梗塞の波形変化が出現します。
また高カリウム血症に認められるP波の消失やQRS波の幅延長などテント状T波以外の他の所見を探してみるのも鑑別の方法として挙げられます。
高カリウム血症の波形のポイント
- 幅が狭く高いT波(左右非対称)
- P波の消失
- QRS波の幅延長
- PQ間隔延長
- QT間隔短縮
2、de Winter ST/T wave complex
de Winter ST/T wave complexは前壁心筋梗塞、特に左前下行枝(LAD)近位部の閉塞を示唆する心電図と言われており、2008年に報告された研究では1532人の前壁心筋梗塞と診断された患者のうち30人に認められたという報告があります。
LAD閉塞を伴うがST上昇を伴わない前壁心筋梗塞の波形変化とも言われています。
前壁心筋梗塞のLAD病変といえばWellens症候群が有名ですが、こちらは慢性的な高度狭窄病変があるときに波形変化として表れることが多いです。
de Winter ST/T wave complexの波形のポイント
- 前壁誘導でST1~3mの低下とupslope型の波形
- 左右対称の高いT波
※de Winter ST/T wave complexの場合、時間経過とともにST上昇は認められません。
アイコンキャッチ画像:Wayhomestudio – jp.freepik.com によって作成された people 写真” target=”_blank” rel=”noreferrer noopener”>http://<a href=’https://jp.freepik.com/photos/people’>Wayhomestudio – jp.freepik.com によって作成された people 写真</a>
スポンサーリンク
コメント