高カリウム血症にカルチコールを投与する理由|活動電位の動きを解説

高カリウム血症にカルチコールを投与する理由|活動電位の動きを解説

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高カリウム血症の治療

高カリウム血症はカリウム濃度が高いことが原因で不整脈などを誘発するリスクがあります。特にカリウム値が7.0~/8.0mEq/Lを超えると心室細動をはじめとする致死性不整脈が出現するリスクがより高くなります。

高カリウム血症の治療には以下のようなものがあります。

  • GI療法(グルコース・インスリン療法)
  • 血液透析
  • 利尿剤(商品名:フロセミド)
  • 陽イオン交換樹脂製剤(商品名:カリメート、アーガメイト)
  • 炭酸水素ナトリウム製剤(商品名:メイロン)
  • グルコン酸カルシウム(商品名:カルチコール)

カルチコールとは?

画像引用:https://www.nichiiko.co.jp/medicine/product/55160

カルチコール(主成分:グルコン酸カルシウム)はカルシウム補充剤に分類されます。

禁忌の患者

・強心配糖体の投与を受けている患者
・高カルシウム血症の患者
・腎結石のある患者(腎結石を助長するリスクがある
・重篤な腎不全のある患者

効能・効果

・低カルシウム血症に起因するテタニー、テタニー関連症状の改善
・小児脂肪便におけるカルシウム補給

副作用

【重大な副作用】
・高カリウム血症、結石症

【その他の副作用】
・食欲不振、悪心、嘔吐、便秘、胃痛、倦怠感

使用上の注意

・投与経路は静脈注射のみ
セフトリアキソンナトリウムと配合した場合、沈殿を生じることがあるため配合は禁止

高カリウム血症に対するカルチコールの作用は?

カルチコール自体にはカリウムを下げる効果はありませんただし、心筋膜の安定化作用があり閾膜電位(閾値)を下げる作用があります。これによって高カリウム血症の中毒作用に対して心室細動を予防する効果があります。

閾膜電位(閾値)を下げることにより、活動電位を発生するためには多くの刺激が必要になり興奮性が低くなります

カルチコール注(8.5%)の使い方は1回10mlを緩徐(5分以上かけて)に投与します。数分で薬効が現れ、約1時間効果が持続します。効果がなければさらに10ml追加で投与します。

ジゴキシン内服患者には投与禁忌

ジゴキシンの強心作用はカルシウム由来のため、カルシウム補充剤であるカルチコールと併用すると強心配糖体の毒性が増し徐脈、心室期外収縮房室ブロック等の不整脈を誘発するリスクがあります

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