狭心症の心電図の特徴|心筋梗塞との違いについても解説!
狭心症とは心臓に血液を送る冠動脈の異常により心筋虚血状態となり、胸痛などの発作が起きた状態です。このサイトでは狭心症の種類や症状、心電図のポイント、治療について解説していきます。
狭心症とは?
狭心症とは冠動脈が狭窄することで心筋に十分な栄養が届かなくなる状態を指します。冠動脈の異常により発生する胸の圧迫感や一時的な胸の痛みを狭心症発作といいます。この発作は突然起こり、数十秒から数分間続きます。
また、狭心症は冠動脈の狭窄状況や発作の程度によっていくつかの分類方法があります。
①病状による分類:安定狭心症と不安定狭心症
まだ発作の起きる状況や持続時間が一定しているものを安定狭心症といいます。それに対し、冠動脈の狭窄が急速に進行して発作の頻度が多くなったり、長くなったり、軽い労作で出現する危険な状態を不安定狭心症といいます。
②発生状況による分類:労作性狭心症と安静時狭心症
運動など心臓に負荷がかかる動作を行った際に発作が起きるものを労作性狭心症といい、安静時にも発作が起きるものを安静時狭心症といいます。
③発生原因による分類:冠動脈硬化性狭心症と冠攣縮性狭心症
冠動脈硬化性狭心症とは冠動脈の動脈硬化が原因で起こる狭心症です。一般的には労作性狭心症がこれに該当します。冠動脈の動脈硬化が進むことで冠動脈が狭窄し、心筋への血流が滞り心筋虚血に至ります。
冠攣縮性狭心症とは冠動脈が急に痙攣して細くなることで起こる狭心症です。安静時狭心症がこれに該当します。また冠動脈硬化性狭心症と冠攣縮性狭心症が同時に起こる場合もあります。
狭心症の心電図波形のポイント
- 労作性狭心症(冠動脈硬化性狭心症)はST低下
- 異型狭心症(安静時狭心症、冠攣縮性狭心症)はST上昇
1、労作型狭心症の心電図波形のポイント
労作型狭心症では典型的なST低下を観察することができます。
ST低下にはいくつかのパターンがありますが、主な波形として水平型と右下がり型(ダウン・スローピング型)の2つがあります。
異型狭心症の心電図波形のポイント
安静時狭心症で発作時に特徴的なST上昇を示すものを異型狭心症と呼びます。
安静時狭心症の場合、非発作時の冠動脈は正常なので運動負荷心電図を記録しても異常な所見はみつかりません。
狭心症の症状
- 胸痛、胸苦
- 肩や歯の痛み
- 息苦しさ
狭心症と心筋梗塞の違い
心臓は休むことなく1日に約10万回拍動していると言われています。この心臓を動かすエネルギー源は冠動脈と呼ばれます。冠動脈は心臓に冠を被せたように配置されており、心筋の細胞に栄養を与える役割を持っています。
狭心症の場合はこの冠動脈が動脈硬化や痙攣などにより狭窄することで症状が出現します。それに対し心筋梗塞の場合は血栓などにより冠動脈が閉塞することで症状が出現します。心筋梗塞の場合は閉塞しており、血流が途絶えた状態で心筋が壊死するリスクがあるため早急に対応が必要です。
心筋梗塞に関しては別の記事でまとめているので詳しくはそちらを参照してください。
ST上昇、異常Q波、冠性T波とは?心電図でわかる心筋梗塞
狭心症を見つけた時の対応
モニター上でST変化が見られた場合は狭心症発作もしくは心筋梗塞の可能性があります。すぐに患者のもとへ駆けつけて、バイタルサインの変化や胸痛などの症状がないかを確認しましょう。
症状がある場合はすぐに医師に報告が必要になります。また症状の有無にかかわらず12誘導心電図を実施しておくとよいでしょう。のちにST変化の原因を分析する際や診断を行う際に必要になります。
狭心症の治療
1、薬物療法
軽度の狭心症や高齢者には薬物療法で発作の予防と鎮静を行います。
発作を予防するためには硝酸薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬などを使用します。
発作の抑制にはニトログリセリン(硝酸薬)を使用します。ニトログリセリンを発作時に使用することで血液量が増え、心筋が消費する酸素量を減らすことができます。
ニトログリセリンの投与方法には以下の種類があります。
舌下錠 | 舌の裏側に錠剤を入れて唾液で溶かして服用します。即効性があります。 |
スプレー薬 | 硝酸薬を口の中にスプレーして服用します。即効性があり舌下錠と同様、もしくはそれ以上の即効性があります。 |
張り薬 | 湿布のように体に張り付けて皮膚から吸収するタイプです。持続性が高く12~24時間薬効が続きます。 |
2、カテーテル治療
カテーテル治療にも種類があり、1つ目は動脈硬化により狭窄した冠動脈をカテーテルの先端についたバルーンを使って広げる手術(冠動脈形成術:PTCA)です。
2つ目は冠動脈の狭窄部位が冠動脈形成術を行うのに難しい場所にある場合や、複数の箇所が狭くなっている場合は冠動脈バイパス術の適応になります。バイパスに使用する血管は足の静脈か、胸・腕・胃の動脈を使用します。
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