非特異的心室伝導遅延とは?|心電図の特徴を解説
非特異的心室伝導遅延とは健康診断の心電図でみられる不整脈です。特にスポーツを行っている若年層によくみられる心電図波形となります。このサイトでは非特異的心室伝導遅延について波形のポイントなどわかりやすく解説していきます。
非特異的心室伝導遅延とは?
非特異的心室伝導遅延とは心室内の伝導障害によって生じます。心電図波形ではQRS幅が0.10~0.12秒かつ、左脚ブロック・右脚ブロックに該当しない波形の場合は非特異的心室伝導遅延という診断になります。
症状はなく、適応となる特異的な治療法はありません。
QRS幅だけに着目してしまうと不完全脚ブロックと間違えやすいので注意が必要です。QRS幅だけで不完全脚ブロックと判断するのではなく、脚ブロックの所見があるかしっかり確認しましょう。
非特異的心室伝導遅延の波形のポイント
- QRS幅が広い(0.10~0.12秒)
- 右脚ブロック・左脚ブロックの所見がない
障害される部位は?
右脚ブロックや左脚ブロックでは、それぞれ右脚・左脚が障害されることでQRS幅の遅延が生じます。心室内伝導障害ではプルキンエ線維より末梢側で一部に障害が生じて伝導が遅延する場合がありますが、伝導障害は生じておらず全体的に伝導速度が遅くなっている場合が多いです。
一般にQRS幅は心室内の伝導速度を表しています。心室内の伝導速度が一定でも仮に心臓のサイズが大きくなった場合、QRSの幅が多少広くなります。
そのため冒頭にあるスポーツをしている若年層(スポーツ心臓)によくみられる不整脈だと言われています。
しかし、高度の心拡大を伴い心筋障害(虚血性心疾患、心筋症、弁膜症)、左室肥大、高カリウム血症など心電図の見た目以上に重い病態が隠れている場合もあるので精査は必要になります。
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