WPW症候群の心電図の特徴|A型、B型、C型の違いとは?
WPW症候群とは心臓に刺激伝導経路とは別の副伝導路(ケント束)をもつ先天異常です 。このサイトでは心電図が苦手な人にもわかりやすい波形の読み方の解説、WPW症候群を見つけた時の対応、治療方法について解説していきます。
WPW症候群とは?
WPW症候群とは心臓に刺激伝導経路とは別の副伝導路(ケント束)をもつ先天異常です。WPW症候群は健康上に全く問題を感じておらず、健康診断で実施する心電図検査により初めて発見される事例が多いです。
WPW症候群の波形のポイント
- デルタ波を伴う幅広いQRS波(0.12秒以上)
- PQ間隔が短い
A型、B型、C型について
WPW症候群は副伝導路の場所により3つのタイプに分かれています。
A型…ケント束が左室-左室を結んでいます。
→波形のポイント:V1で高いR波が認められます。
B型…ケント束が右室-右房を結んでいます。
→波形のポイント:V1で深いS波が認められます。
C型…ケント束が中隔に存在します。
→波形のポイント:V1で深いS波に加え、下向きのQ波が認められます。
偽性心室頻拍とは?
偽性心室頻拍とはWPW症候群とAF(心室細動)が合併した時に生じる不整脈です。VT(心室頻拍)と間違えやすい不整脈です。鑑別のポイントとしてVT(心室頻拍)はRR間隔が規則的ですが、偽性心室頻拍はAF(心房細動)なのでRR間隔が不規則なのがポイントです。
偽性心室頻拍はVF(心室細動)に移行するリスクが高いため突然死の原因となりうる不整脈です。すぐに医師に報告して電気的除細動の準備を行う必要があります。
WPW症候群を見つけたときの対応
特に症状がない場合は何もしなくて大丈夫です。運動制限もなく普段と変わらない日常生活を行っても問題ありません。ただし、頻脈発作により動悸や胸部不快感などの症状がある場合はベッドに臥床させて、12誘導心電図を実施する必要があります。
WPW症候群の治療とは?
WPW症候群が見つかってもほかに心異常はなく、不整脈の既往がない場合が治療の必要はありません。
しかし、30~40%は僧帽弁逸脱症候群や心筋症などの心疾患を合併していると考えられています。また、50~60%は発作性上室頻拍(PSVT)や心房細動などの不整脈の発作を起こす可能性があると考えられています。
特に頻脈発作に心房細動を合併した場合は、RonTとなって心房細動に移行する可能性が高いので注意が必要です。頻回に頻脈発作が起きる場合はカテーテルアブレーションによる治療が第一選択とされています。カテーテルアブレーションは成功率が約9割と高いことに加え、根治治療のため再発がなく、短期間の入院で治療ができます。
抗不整脈による薬物療法もありますが、長期服用が必要なため入院期間も長期となります。また、効果が確実ではなく、再発リスクもあるため現在はカテーテルアブレーション治療ができない場合、もしくはカテーテルアブレーション治療が不成功だった場合の選択肢として考えられています。
アイコンキャッチ画像:Freepik – jp.freepik.com によって作成された heart 写真
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