上行型、下行型、水平型、盆状型|危険なST低下の形とは?
ST低下で何がわかる?
心電図においてST変化は心室筋の状態を読み解くカギとなります。
主に狭心症発作時の虚血性変化として多くみられる波形変化です。
ST低下が心電図に表れているということは心筋の内側(心内膜)で部分的に虚血が起きている可能性が高いとアセスメントすることができます。
危険なST低下の形はどれ?
1)病的な波形変化の可能性が高い形
水平型(horizontal)のST低下
水平型のST低下は虚血性心疾患を疑う波形変化です。
下行型(down slpoe)のST低下
下行型のST低下は虚血性心疾患を疑う波形変化です。
2)異常がない可能性が高い形
上行型(up slpoe)のST低下
上行型のST低下は一般的には大きな異常が隠れていることは少ないです。
盆状型のST低下
盆状型のST低下は若い女性の非特異的ST変化やジギタリス中毒にみられる特徴的な波形変化です。
ST低下が認められたら虚血性心疾患を疑え!
1、狭心症
狭心症とは冠動脈が狭窄することで心筋に十分な栄養が届かない状態を指します。この冠動脈が狭窄することにより発生する一時的な胸痛や胸部不快感を狭心症発作といいます。
狭心症はST低下のイメージがありますが、実は大きく分けてST低下を示す通常型の狭心症と、ST上昇を示す異形狭心症の2種類に分類されます。
狭心症については別の記事で詳しく解説しているのでそちらを参照してみてください。
2、心筋梗塞
心筋梗塞とは冠動脈が完全に閉塞し閉塞部位より先の心筋に血液が流れなくなり心筋が壊死した状態です。そのため血管が閉塞してから心筋が完全に壊死してしまうまでに、できるだけ早く治療を開始することが重要になります。
心電図でST低下が認められた場合は心筋梗塞を疑う必要があります。
特にV1~V3でST低下が認められる場合は後壁梗塞のミラーイメージの可能性があります。後壁梗塞を見逃さないためにV1~V3でST低下が認められる場合は背部誘導を実施する必要があります。
心筋梗塞や背部誘導に関しては別の記事で詳しく解説しているのでそちらを参照してみてください。
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