Wellens症候群とは?|タイプ別の心電図波形の特徴を解説
Wellens症候群とは?
Wellens症候群(ウェレンス症候群)とは1982年頃にWellensらによって報告された、胸痛を訴える患者の胸痛消失後に特徴的なT波がみられる症候群です。
この所見は左前下行枝(LAD)近位部の高度狭窄を示唆するもので、未治療の場合には75%が数週間以内に前壁梗塞に進展するという報告もあります。
Wellens症候群 の波形の特徴
- TypeA(75%を占める):V2,V3誘導に深い陰性T波が存在する
TypeB(25%を占める):V2,V3誘導に二相性T波が存在する - ST上昇は認めないか最小限にとどまる(1㎜以下)
- 前胸部誘導にQ波がない
- 前胸部誘導でR波が維持されている
- 最近の胸痛が存在する(現在胸痛は消失している)
- 胸痛を一度自覚した後の症状が消失した時間帯に心電図変化がある
- 心筋逸脱酵素は正常かわずかに上昇している
Wellens症候群 typeAの波形
Wellens症候群 typeBの波形
Wellens症候群の治療
Wellens症候群ではトレッドミル検査などの運動負荷試験はVTなどの致死的不整脈を誘発するリスクがあるため禁忌となっています。
負荷試験を実施するのではなく心臓カテーテルを行い冠動脈造影が必要になります。冠動脈造影の結果で高度狭窄がみつかった場合は必要に応じて再灌流療法や血管形成術が行われます。
U波陰転化の歴史
Wellens症候群 のTypeBの特徴的な波形変化として二相性T波がありますが、これは厳密にいうと U波の陰転化が関係しています。
実はU波の陰転化は左前肢下行枝の狭窄を示す重要な心電図所見として古くから注目されていました。
1979年 Gersonらによる報告
Gersonらは負荷心電図でU波の陰転化が前胸部誘導でみられた36人中33人(92%)で、左前下行枝の近位部に75%以上の狭窄を認めたことを発表しました。
その後1980年にGersonらはU波の陰転化を安静時に認めた27人中24人(89%)に左前下行枝または左主幹部に狭窄を認めたことを発表しました。
これによりU波の陰転化は労作時・安静時問わず、左冠動脈または左主幹部の狭窄を示す所見として有名になりました。
1982年 Wellensらによる報告
Wellensらは不安定型狭心症の診断で同じようなU波の陰転化をきたしている症例16人中12人が入院後2~3週間以内に前壁梗塞を起こしたと報告しました。
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