大人と何が違う?|小児の心電図の特徴とは
小児の心電図は対象が新生児から思春期まで広く分布しているため、発達段階で変化する心電図所見を理解する必要があります。
この記事では小児の心電図の特徴をわかりやすく解説していきます。
心拍数
小児は一般的に頻脈であるためRR間隔が短いのが特徴です。脈拍数の平均値は新生児期:130/min、乳児期:120~140/min、幼児期:90~120/min、学童期以降は80~100/minと年齢を重ねると共に少なくなります。
新生児期 | 130/min |
乳児期 | 120~140/min |
幼児期 | 90~120/min |
学童期以降 | 80~100/min |
P波
平均軸は各年齢層で大きな変化はなく、0~90°の範囲内にあります。
P波の時間は年齢を重ねると共に少しずつ延長し、幼児0.08秒未満、小学生0.09秒未満、中学生以上0.10秒未満とされます。
P波の波高は新生児期でやや高く四肢誘導で3.0mm以下となっています。
(P波の波高の正常:四肢誘導で2.5mm以下、胸部誘導では1.5mm以下)
QRS波
出生直後の電気軸は強い右軸偏位ですが年齢と共に変化します。
新生児では+90~180°、乳児では+30~110°、学童では0~90°を正常範囲としています。
また健常児でのQRS波の分裂がみられ、特にV1で多くみられます。Rsr´の形が単独で見られる場合でも小児ではほとんど病的意義はありません。
T波
小児の場合T波は年齢と共に変化します。出生直後はV1~V6まですべてのT波が陽性ですが、生後1~2以内に右室圧の生理的低下により陰性化します。その後は発育に従って陽性化し16歳ころまでにV1~V6全てT波が陽性化します。
上記の心電図ではV1、V2、V3で陰性T波がみられます。
そのため5歳以上10歳未満の児の心電図ということがわかります。
4~5歳 | V4が陽性化 |
10~11歳 | V3が陽性化 |
12~14歳 | V2が陽性化 |
16歳以上 | V1が陽性化 |
スポンサーリンク
コメント