超入門編|新人看護師へ向けた心電図の読み方をゼロから解説

超入門編|新人看護師へ向けた心電図の読み方をゼロから解説

心電図は入院中の患者の状態を観察する際に多く使用されており、バイタルサインの見守りや不整脈の観察を行っています。そのため循環器系だけではなくあらゆる診療部門で活用されています。しかし、着用しているだけでは十分とは言えず、看護師の心電図を読む力も状態変化の早期発見には欠かせない要素になります。
今回は新人看護師を対象に心電図の読み方のポイントを徹底解説していきます。

尚、「心電図とは?新人看護師にわかりやすく基本を解説!」を読んでから本ページを読むことをお勧めします。

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記録用紙の見方

画像引用:https://www.kango-roo.com/learning/1705/

まず、心電図がどのように記録されているかを確認していきましょう。心電図記録の横軸は時間を表しています(1㎜は0.4秒)。縦軸は電圧を表しています(1㎜は0.1mv)。

つまり5㎜のマスの横軸は0.2秒になり、縦軸は0.5mvになります。

心電図を見るのは順番がある?

心電図波形の見方
  1. QRS波の決定
  2. QRS波からリズム、心拍数、形態異常の確認
  3. P波の有無
  4. P波の形態異常、リズム異常の確認
  5. T波の決定
  6. ST部分の形態、PQ時間及びQT時間の計測
  7. 不整脈の有無の解析

1、QRS波の決定、リズム、心拍数、形態異常の確認

QRS波は心電図波形状のもっとも大きく探しやすい波形です。正常波形ではQRS波のリズムは整、心拍数は60~100/minです。QRS波を見つけたらリズムを確認します。QRS波と次のQRS波の間隔(R-R間隔)が規則的か、不規則か判断します。

正常なQRS波の形態は幅が0.10秒(2.5mm)以下、正常な高さが0.5mv(5mm)以上となります。

QRS波の幅は細い方がいい?

心電図でQRS波は心臓の収縮を表しています。
要するにQRS波の幅=収縮に要した時間です。
(詳細は「心電図とは?新人看護師にわかりやすく基本を解説!」を参照)

自転車の空気入れで例えると…

①勢いよく空気を入れた場合は空気入れのポンプの収縮時間が短くなります。
QRS波の幅は狭くなる

②反対にゆっくり空気を入れると空気入れのポンプの収縮時間が長くなります。
QRS波の幅は広くなる

収縮に要した時間が短ければ短いほど、1回に送る空気の勢いがよくポンプの力は強いです。さらに短時間で多くの空気を送ることができます。心臓も同じです。収縮に要した時間が短ければ短いほど、1回に送る血液の勢いがよくポンプの力は強いと判断できます。そのため収縮に要した時間が短い「QRS波の幅が狭い」方が心臓の機能としては正常だと判断できます。

2、P波の決定、リズム、形態異常の確認

P波はQRS波の前にある小さな山を指します。まずはP波の有無を確認しましょう。次にP波の形やリズムに異常がないか確認します。

正常なP波の形状は幅が0.08~0.11秒(2~2.75mm)、高さ0.25mv(2.5mm)以下となります。

3、T波の決定

T波はQRS波の直後にある心電図上で2番目に大きな山です。T波の幅、高さは症例、年齢、誘導などによって一定しないため基準値など明確なものはありません。

T波の形について…

正常なT波は左右非対称なのがポイントです。
前半はだらだらと上昇し後半にストンと急下降します。
心筋に虚血(冠性T波)や電解質異常(テント状T波)などの異常がある場合、T波は左右対称になる場合があります。

画像引用:https://www.miyake-naika.or.jp/05_health/shindenzu/shindenzu_05.html
T波の異常波形について

T波増高  QRS波の1/2以上高さがあるT波
T波平坦  R波の1/10以下の高さのT波
二相性T波  形が谷と山に分かれているT波
陰性T波  基線に対して下向きのT波
冠性T波  心筋梗塞に認められる左右対称の陰性T波
巨大陰性T波 1.0mv以上の深い陰性T波

4、ST部分

ST部分はQRS波の終末点からT波開始点までの直線部分を指します。
心臓全体が興奮しきった状態で心筋内に電位差が生じるため、ほぼ基線に一致した直線になります。

5、PQ時間

PQ時間とはP波の開始点からQRS波の開始点までの部分を指します。
心房興奮の開始から心室興奮の開始までの伝導時間の長さをあらわしています。

6、QT時間

QT時間とはQRS波の開始点からT波の終末点までを指します。

QT時間は正常心電図でも頻脈時には短縮、徐脈時には延長する傾向があります。QT時間の基準値は0.34~0.40秒(8.5~10mm)となっています。

慣れてきたら2つに分けて波形をみる

心電図上でP波、QRS波、T波を探せるようになったら次は①P波~QRS波②ST~T波の順番で2つに分けて観察することをオススメします。

①P波~QRS波


私たちの心臓の役割は収縮し全身に血液を送ることです。収縮が不十分、もしくは収縮がない場合は全身に血液を送ることができず、循環不全になり死に至る可能性があります。

実際に心電図で心臓の収縮を表しているのが①P波~QRS波になります。そのためP波~QRS波に異常がある場合は、心臓の動きの異常収縮機能の異常が出現した可能性があります。またP波~QRS波は心臓の収縮を表しているため1拍ごとに波形が変化するのも大きな特徴です。

画像引用:http://senkensoi.net/old/ssnet/mechatronics/index.html
②ST~T波

ST~T波は心筋の状態(虚血の有無や電解質バランスの異常)を表しています。そのため心臓の収縮の動きには直接関係はありません。そのため①P波~QRS波はのように1拍ごとに変化することはないです。

簡単まとめ

①P波~QRS波
・心臓の収縮を表している
・1拍ごとに波形が変化する

②ST~T波
・心筋の状態を表している
・1拍ごとに波形が変化することはない(収縮に直接関係ないため)

アイコンキャッチ画像:Pressfoto – jp.freepik.com によって作成された school 写真

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