平均電気軸とは?|平均電気軸の求め方や軸偏位について解説
平均電気軸は心電図で1拍分の平均の電気の向きを表すものです。心電図において基礎知識ですが、意外と苦手な人が多いと思います。このサイトでは心電図が苦手な人もわかりやすいよいに解説していきます。
平均電気軸とは?
右軸偏位・左軸偏位を理解するためにはまずはじめに、平均電気軸について理解しなければいけません。平均電気軸とは心電図で1拍分の平均の電気の向きを表しています。正確にはQRS波の全額面平均電気軸といい、平均電気軸には胸部誘導の波形で考える長軸回りや電気軸、T波の電気軸などがあります。
正常な場合は心臓の傾き(長軸)とほぼ同じ方向になります。
平均電気軸の正常範囲
平均電気軸のは正常で真横(0°)~直下(90°)の範囲になります。
平均電気軸は約60°付近の人が多く、この場合電極がほぼ平行になるⅡ誘導でR波が最も大きく見えるためモニター心電図ではⅡ誘導が標準設定となっています。
0°より上向きになるものを左軸偏位、+90°より右側に向くものを右軸偏位といいます。
平均電気軸の体格による違い
やせ型の人は逆に心臓がが縦向きになっていることが多く平均電気軸(心臓の向き)が下向き(より90°に近い)になっていることが多いです。
肥満の人は心臓が脂肪で押し上げられ心臓が横向きになっていることが多く、平均電気軸(心臓の向き)も横向き(より0°に近い)になることが多いです。
平均電気軸の求め方
四肢誘導(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、aVF、aVR、aVL)の中から2つ選びそれぞれのR波+S波を求めます。求めた数字を下図に当てはめて平均軸を求めます。
尚、比較する四肢誘導はⅠ(軸0°)、aVF(軸+90°)の組み合わせがオススメです。両誘導のQRS波が上向きなら、作図すると軸は必ず0°~+90°の範囲にあり正常であることが容易にわかります。
例題を使って実際に求めてみよう!
今回はⅠ誘導とaVF誘導を使用して電気軸を求めていきます。横軸をⅠ誘導、縦軸をaVF誘導としました。
~手順①~
Ⅰ誘導のQRS波のmv(心電図で縦軸のマスの数)を数えます。
例題では…
Q波…0mv、R波…10mv、S波…-3mvとなります。
~手順②~
aVF誘導のQRS波のmv(心電図で縦軸の縦のマスの数)を数えます。
例題では…
Q波-1mv、R波10mv、S波-1mvとなります。
~手順③~
Ⅰ誘導、aVF誘導それぞれのmvの高さを足した数字を図に記入します。
例題では…
Ⅰ誘導=0+10-3=7
aVF誘導=-1+10-1=8
~手順④~
最後に直角に交わる場所を線で結ぶと平均軸を求めることができます。
今回の例題では平均軸+48°となり0°~+90°の間にあるため正常軸と判断できます。
軸偏位の簡単な見方
軸偏位の簡単な見方としてⅠ誘導とⅡ誘導を確認します。
Ⅰ誘導とⅡ誘導の両方でR波>S波であれば正常軸
Ⅱ誘導でR波よりS波が大きければ左軸偏位
Ⅰ誘導でR波よりS波が大きければ右軸偏位
実際に図に当てはめてみると…
①Ⅱ誘導でR波よりS波が大きい場合
この場合はⅠ誘導はプラスで、Ⅱ誘導はマイナスになります。
今回はⅠ誘導のQRS波のmvの合計が+10、Ⅱ誘導のQRS波のmvの合計が-10と仮定し図に記入すると平均電気軸は-46となり左軸偏位になりました。
このようにⅡ誘導でR波がS波より大きい場合は0°を下回るため左軸偏位となります。
②Ⅰ誘導でR波よりS波が大きい場合
この場合はⅠ誘導はマイナスで、Ⅱ誘導はプラスになります。
今回はⅠ誘導のQRS波のmvの合計が-10、Ⅱ誘導のQRS波のmvの合計が+10と仮定し図に記入すると平均電気軸は+136となり右軸偏位になりました。
このようにⅠ誘導でR波よりS波が大きい場合は+90°を上回るため右軸偏位となります。
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