洞調律もわからない看護師が心電図検定2級に合格した勉強方法を紹介

洞調律もわからない看護師が心電図検定2級に合格した勉強方法を紹介

心電図を苦手としている看護師は多いと思います。私自身もそのひとりでした。
でも上司と年度初めに面談を行った際にひょんなことから今年の目標は「心電図を勉強する」ということになりました。

これから1年をかけてせっかく勉強したなら何か形に残せないかと思い、検索したら心電図検定という検定をみつけました。洞調律もわからなかったため勉強は0からのスタートでしたが1年間かけて心電図を勉強し、翌年心電図検定2級に合格することができました。

このページでは心電図検定を受験する方へむけて私自身が行った勉強方法を紹介していきます。

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心電図検定とは?

心電図検定
画像引用:https://new.jhrs.or.jp/recognition/kentei/kentei-01/

心電図検定とは日本不整脈心電学会が実施している年に1回の検定です。対象者は医師、看護師、臨床検査技師、医療系学生、医療関連業者のほか、心電図に興味がある人であれば誰でも受験できる検定になっています。

心電図検定は1~4級の4つの階級にわかれており、さらに1級の中でも高得点者にはマイスターという称号が与えられます。

試験問題は当日試験終了後に回収されるため過去問は一切出回っていないのも特徴です。

レベル問題構成・制限時間
4級心電図の基礎的な判読力を有するもの
(循環器勤務数年のメディカルプロフェッショナル、心電図に興味のある医学生など)
・マークシート方式:70分
・出題数:50問
3級心電図の基礎~中級の判読力を有するもの
(一般臨床医、循環器勤務メディカルプロフェッショナル)
・マークシート方式:90分
・出題数:50問
2級心電図の中級~高度な判読力を有するもの
(一般循環器医、循環器勤務ベテランメディカルプロフェッショナル)
・マークシート方式:90分
・出題数:50問
1級心電図の高度な判読力を有するもの
(循環器専門医、心電図に深く精通したメディカルプロフェッショナル)
・マークシート方式:90分
・出題数:50問
マイスター心電図の極めて高度で専門的な判読力を有するもの
※選考基準…1級合格者のうち高得点者から認定する

心電図検定受験へ向けて準備したもの

公式問題集改訂3版 心電図検定公式問題集&ガイド

テキストの写真

主に使用した教材は日本不整脈心電学会 心電図検定委員会で編著している「公式問題集改訂3版 心電図検定公式問題集&ガイド」だけです。この一冊があれば勉強は可能です。逆に言えばこの一冊がなければ合格への道は困難だと思います。なので心電図検定の受験を考えている人は必ず準備することをオススメします。

この本には心電図検定の用語・出題様式に準じた問題111問が解説付きで載っています。実際の試験には同じ問題はでませんが心電図検定公式の問題集&ガイドということもあり、考察の仕方だったり出題形式に慣れるという意味ではとてもいい教材でした。

個人的には心電図検定3級、2級の受験を考えている人はこの一冊を軸にして勉強することで試験に対応できると考えています。

②メディカルデバイダー

メディカルデバイダー

メディカルデバイダーはRR間隔、PP間隔など波形の間隔を測定するのに使用します。心電図検定では定規またはデバイダーの持ち込みが認められていますが、定規では波形の間隔の測定に時間がかかってしまうためデバイダーの購入をオススメします。

実際の勉強方法は?

公式問題集を解く前に…

いきなり問題を解いてもそもそも心電図がわからなければ意味がありません。私の場合、心電図の勉強を始めた頃は「心電図って何?」「洞調律しかわからない」という状態だったので基礎編から勉強しました。

基礎編に関しては教材を買う必要はないと思います。
高いお金を出して参考書を買わなくても、今の時代はインターネットに情報が溢れている時代です。難しい不整脈になるとサイトによって記載している内容が違う場合がありますが、基礎編であればどのサイトも同じような内容を記載しています。

当サイトでも心電図の基礎知識から心電図検定に出題されるマニアックな知識までわかりやすく解説しているので参考にしていただければ幸いです。

公式問題集を解いてみる(1周目)

実際に心電図の基礎を理解したら次は実際に公式問題集を解いてみますがタイトルに(1周目)と付けたのには理由があり、私は試験当日まで公式問題集を10周解きました。まずは1周目の勉強方法のやり方から説明していきたいと思います。

1)わからない単語は全部調べる

1周目で大切なのはわからない用語があったら全部調べることです。
なので1周目が一番時間がかかりました。1周目は問題を解くというより、わからない単語を調べると表現した方が正しいかもしれません。

2)公式問題集には直接書き込まない

問題集を解いているとWPW症候群や房室ブロックなど初めてみる不整脈が出てきましたが、ここで調べたことを直接問題集に書いてしまうと、次に問題を解くときのヒントになってしまうためノートを別で準備することをオススメします。

3)参考書やサイトをみてもわからない時の対応

何事も独学には限界があります。参考書やサイトをみても理解できない部分に必ずぶつかります。その場合は人に聞くのが1番の解決策です。

私は職場で心電図に詳しい先輩や医師にわからないことがあったら聞いていました。直接教えてもらうことで初めてわかることや、参考書に載っていない情報や考え方を知ることができます。

公式問題集を解いてみる(2周目)

公式問題集2週目も全ての問題を解きます
1週目との違いはどの問題が間違えたのかわかるように空いているスペースに〇、△、✕の印をつけておくところです。

印をつけることで次回、同じ問題を解く際にどの問題を間違えてどの問題を解くことができたのかを明確にすることができます。

印の使い分け

〇…正解した問題。さらに定義もわかっており次回も間違えない自信がある。
△…正解した問題。ただし定義があいまいで次回間違える可能性がある。
✕…不正解の問題。

公式問題集を解いてみる(3周目以降)

2周目で自分の解ける問題、解けない問題が明確になったので、3周目以降は解けない問題に時間を費やしていきます

具体的なやり方として〇印がついた問題は一切解きません。こうすることでできる問題を解く時間が(無駄な時間)が削減できます。その分できない問題(△、✕の印がついた問題)に時間を費やすことができます。

〇の印がついた問題は解かなくて大丈夫なの?

定義もわかっており、次回も間違えない自信がある問題のため問題ありません。ただし試験の1カ月前にはもう一度、最終確認を兼ねて全問解く時間を作りましょう。そこでも〇印なのであれば本番でも間違える可能性は低いと考えます。

最終的には△、✕の問題より〇印の問題の方が多くなります。そうなったらもう一度全問解いて最終確認してみてください。

公式問題集を複数周した方へおすすめのテキスト

ER心電図

公式問題集を解き始めて5周目に突入した辺りから問題を覚えてしまい、見ただけで答えがわかるようになってきました。もちろん答えを覚えていても定義を覚えていない問題があるため、正当していても定義があやふやな場合は△の印をつけて6周目、7周目と繰り返し問題集を解きました。

でもやっぱり繰り返しているうちに「新しい問題に触れて実力を試してみたい」という思いが出てきます。そこで本屋に行き何冊か参考書を手に取って見てみましたが個人的に最終確認で使用した参考書はER心電図です

ER心電図

ER心電図はサブタイトルが「実際の症例で鍛える」というだけあって心電図の症例がひたすら乗っている問題集です。

Ⅰ 基礎編、Ⅱ 応用編の2冊が出版されていますが心電図検定3級を受ける方はⅠ 基礎編の購入を、心電図検定2級を受ける方はⅡ 応用編の購入をおすすめします。

ER心電図

購入を決めた理由は…

  1. 問題数の多さ
  2. 解説のわかりやすさ

の2つでした。1つ目の問題数の多さに関してはⅡ 応用編は200問の実際にあった心電図の症例が紹介されていました。今回購入を決めた理由は最終確認用のアウトプットが目的だったため問題数の多さはとても魅力に感じました。

2つ目の解説のわかりやすさに関しては200問すべてに上記のようなわかりやすい解説が付いています。文字ではわかりにくい難易度の高い問題の場合は解説欄に実際の心電図波形を出して解説をしてくれるためとてもわかりやすかったです。

試験当日の注意点

私が試験を受けた会場は東京のTOC五反田メッセいう会場でした。受付開始時の30分前に会場に到着しましたが、すでに長蛇の列があり受付が開始されるまで外で待ちました。

どの検定も座席に着席したら試験開始前にトイレにいく人が多いと思います。心電図検定も試験会場のトイレで長蛇の列ができていました。男性用のトイレは比較的空いていましたが、女性用のトイレは長蛇ができていたので会場に入る前にトイレをすませておくことをオススメします。

また試験中はディバイダー、定規、筆記用具、時計の持ち込みが認めらえています。逆にスマートフォン、心電図スケールなどは持ち込みが禁止されています。試験開始前にもスマートフォンの電源を切るように指示がありました。
Apple Watchは通信機能をオフ設定にしていても試験管から注意されたという話があるため注意してください。

試験問題の難易度について

私はBランク(8割以上正解していた)での合格でしたが、正直時間が足りませんでした。最後の20問は残り時間が20分しかないと気づき急いで解きました。ペース配分には気を付けてください。

問題の難易度は公式問題集で2級程度と称されていた問題と同じくらいのレベルだったと思います。ただし出題形式が問題集にはない問題があり戸惑いました。発作前の12誘導心電図と発作時の12誘導心電図を比較する問題が数問あり、1問で2つの心電図をみなければいけないため解くのに時間を使いました。

また勉強不足ということもあり初めて聞く単語が何個かでてきました。解けないと思った問題は時間をかけても勿体ないので、いったん諦め最後に解くことをオススメします。

実際に心電図検定2級を受験した感想

3級か2級のどちらを受験するかで迷っている人がいたら、ぜひ2級を受験してもらいたいです。個人的に3級は波形がきれいで判別が簡単な問題が多く、2級は波形が少し複雑(例:PACのP波が先行するT波と被ってきれいに見えないなど)で判別が難しい問題が多いように感じました。でも不整脈の定義さえしっかり覚えていれば2級も合格することができると思います。

心電図検定を取得したことで自信をもって「心電図が得意です」と言えるようになりました。職場内だけではなく院内にも通用する心電図という立派な武器を作ることができました。

心電図検定に興味がある人はぜひ心電図検定の公式サイトを見てみてください。
心電図検定公式サイト

アイコンキャッチ画像:Pressfoto – jp.freepik.com によって作成された business 写真

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