AF(心房細動)の心電図の特徴とは?
AF(心房細動)は臨床現場でよく観察される不整脈です。このサイトでは心電図が苦手な人にもわかりやすい波形の読み方の解説AFを見つけた時の対応、治療方法について解説していきます。
AF(心房細動)とは?
AF(心房細動)とは心房の不規則な興奮が、房室結節に無秩序に伝わることで起こる不整脈です。4人に1人がAF(心房細動)になると言われており、よく観察される不整脈のひとつです。f波と呼ばれる不規則な基線があらわれるのが特徴です。またRR間隔が不規則なことから絶対性不整脈とも呼ばれています。
AF(心房細動)のメカニズム
①加齢により心房の筋肉が変質し、心房で網の目状の電線回路の中で電気がぐるぐる旋回する(リエントリー)ことにとって生じる。
② 人間は、胎児としてお母さんのおなかの中にいる頃は、洞結節以外に心臓内の種々の場所に〝発電所〟をもっていますが、生まれる前に、洞結節以外の〝発電所〟は蓋をされて活動を停止し、洞結節からだけ電気を送るようになって生まれてきます。ところが、年をとったり、甲状腺機能亢進症などの病気になったりすると、この蓋が外れて変な場所から電気を流すようになります。
AF(心房細動)の波形の特徴
①P波がない
②RR間隔が不規則
③f波があらわれる
AF(心房細動)の種類
1、頻脈性心房細動
房室結節が正常なら脈拍は速くなりやすく、頻脈性心房細動になります。心拍数の増加は心不全を引き起こすリスクがあるため、心拍数を安定させる必要があります。
2、徐脈性心房細動
AF(心房細動)は一般的に頻脈の場合が多いですが、房室結節の働きが低下し艇る場合徐脈を呈した状態になります。自覚症状がない場合は治療の対象になりません。しかし、めまい、失神、労作時の息切れなどの自覚症状がみられる場合や、徐脈が続く場合は心房内に血栓が形成されやすいため、ペースメーカーによるレートコントロールが必要になるます。
3、f波がはっきり確認できない心房細動
f波が確認できないAF(心房細動)は特に高齢者で多く、AF(心房細動)が慢性化しており長期で持続した場合にみられることがあります。そのためf波の有無だけで心房細動を判断するのではなく、RR間隔が不規則かどうか確認することが重要です。
またf波が確認できないのはモニター心電図上の話で、12誘導心電図で確認するとⅡ誘導やV1誘導でf波を確認することができます。
AF(心房細動)の症状
- 無症状の場合が多い
- 動悸
- 胸部不快感
- 息切れ
- ふらつき
- 失神(徐脈性心房細動の場合)
AF(心房細動)を見つけたときの対応
AF(心房細動)自体は直接生命を脅かす不整脈ではないため緊急性はありません。ただし、心房が震えるように動いているため心臓のポンプ機能は低下しており血栓を形成しやすい状態になります。そのため新たにAF(心房細動)が出現した際は医師への報告が必要となります。
頻脈による動悸や胸苦がある場合ベッドへ臥床させて医師に報告が必要になります。また徐脈によりめまい、失神等の自覚症状がある場合もベッドへ臥床させて医師に報告する必要があります。この際、循環動態が保たれているか評価するため血圧測定を行うと良いでしょう。
血栓を形成しやすい状態を醤油で例えると…
普通の成人であれば醤油ボトル(心臓)を勢いよく押しだすことができるため、醤油(血液)は勢いよく出ていきます。
それに対して高齢になると醤油ボトル(心臓)を押す力(収縮力)が弱くなります。また筋力も低下するため手がプルプル震えてしまいます。その結果、勢いは弱くなりぽつぽつと醤油(血液)が出ていきます。勢いが弱いがゆえに蓋に醤油が液だれしてしまい、数日後固まりが形成されてしまいます。
この塊が血栓でAF(心房細動)で血栓を形成しやすい状態理由となります。
AF(心房細動)の治療
心房細動は糖尿病や高血圧、心臓病などさまざまな背景により生じることが多いと言われています。そのため原因となる疾患の治療が優先的に行うのが前提となります。
背景疾患を治療したうえで心房細動に対する治療を考える場合には次の3つがあります。
- 抗血栓療法
- 薬物療法(不整脈薬の使用)
- カルディオバージョン
- カテーテルアブレーション
- ペースメーカー植え込み術
1、抗血栓療法
心房細動になった患者のうち心房細動が長時間持続している場合や、突発的に心房細動が出現する人(発作性心房細動)、さらに脳梗塞などの塞栓症を発症しやすい因子が複数ある場合は抗血栓療法を行う必要があります。
2、薬物療法
主に頻脈性心房細動や発作性心房細動などにより生じる、動悸の改善や心不全予防として心房細動の発作を止めるために抗不整脈薬の内服を行います。
心房細動になっても心拍数が早くならないようにレートコントロールを行う目的で予防的に投与する場合もあります。
3、カルディオバージョン
抗不整脈を内服しても改善が見られない場合や症状が強い場合などは電気的除細動(カルディオバージョン)を実施する場合もあります。抗不整脈の内服によりAF(心房細動)が止まる確率は10~50%と言われているのに対して、電気的除細動ではほとんどのAF(心房細動)を止めることができます。
ただし、電気除細動は応急処置で根治治療ではないため再発する人がいます。数カ月以内に再発した場合は再び電気除細動を実施しても、再発するリスクが高いためカテーテルアブレーション治療による根治治療が推奨されます。
4、カテーテルアブレーション
カテーテルアブレーションとはカテーテルを用いて心房細動が生じないように心房筋に熱を与えて焼灼する治療法です。
個人差はありますが、発作性心房細動であれば1回の治療で70~80%の確率で根治します。もし心房細動が再発してしまった場合でも2回目の治療を行うことで80~90%近い確率で根治することができます。
5、ペースメーカー埋め込み術
徐脈性心房細動に関しては自覚症状が強い場合や、徐脈が継続している場合に関してペースメーカーを植え込んでレートコントロールを行います。
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