スポンサーリンク

外傷患者の初期対応のやり方(JNTECまとめ)

怪我をした男性

外傷患者の初期対応のやり方(JNTECまとめ)

外傷患者の対応で重要なこと

私たちがERで勤務するなかで外傷患者が搬送されてくる場面があります。その際に適切な対応がとられていれば、防ぎえたであろう外傷死(PTD)全外傷死亡数の約38%といわれています。

このPTDをおこさないことが外傷患者の対応で重要なことになります。

JNTECは外傷初期看護の質の向上、JATEC・JPTEC(医師・救急隊)と連携・調整をはかり、外傷患者の特徴と双方のコース内容を十分に理解した整合性をもった医療を実現するために策定されました。

患者搬入

1)受け入れ準備

MIST
画像引用:https://slide.antaa.jp/article/view/1e92ed07f37b40d5

外傷患者を受け入れる際は準備が大切になってきます。JNTECでは外傷患者のやり取りを行う際にMIST(ミスト)の使用を推奨しています。

MISTを使用することで医療従事者に患者情報を簡潔明瞭に伝達することができます。また患者の病態、緊急度・重症度などをアセスメントし、必要に応じて物品の準備や適切な人員調整、放射部門やICU部門などの関連部署への連絡を行います。

2)第一印象の把握

実際に外傷患者がERに搬送されてきました。

JNTECでは患者の緊急度を第一印象として15秒程度で把握し、A~Eの異常を周りの医療スタッフに伝える必要があります。

Primary Survey(プライマリ サーベイ)

ABCDE
画像引用:https://www.slideshare.net/gamitake1919/ss-3719017

Primary Surveyの目的は外傷によって生じた生理学的な異常を立て直すことにあります。

観察する順番はA→B→C→D→Eの順で行っていきます。

1)A:Airway(気道)

気道が確保されているかどうかは呼びかけに対して発語があるかどうかで評価します。発語があるということは気道は開放されていると判断します。

呼吸確認
画像引用:https://www.okunoto119.jp/html/kyumei/kyumeis4.htm

意識レベルの低下などにより呼びかけに対して反応がない場合は客観的評価が必要になります。気道開放の評価は胸郭・腹壁の運動を「見て」、口元で空気の出入り音を「聞いて」、口元での空気の出入りを「感じて」の3つが大切になります。

もし気道の開放が確認できない場合、また無反応・無呼吸・瀕死の呼吸状態などなんらかの気道確保が必要な状態の場合は経口気管挿管の適応となります。

2)B:Breathing(呼吸)

呼吸の観察は頸部と胸部の2か所を観察します。観察を行う際は身体侵襲が少ない順に行いますが頸部は視診→触診、胸部は視診→聴診→触診→打診の順で行います。

頸部の観察

①視診で観察する項目は両側の頚静脈の怒張、胸鎖乳突筋(呼吸補助筋)の使用、頸部の外傷がないか確認します。

②触診では気管偏位の有無、頸部~両鎖骨周辺に皮下気腫がないか確認します。

胸部の観察

①視診では呼吸回数、呼吸様式、胸郭運動、胸腔動揺、開放創、打撲痕、SpO₂値、実施されている処置の観察を行います。

②聴診は損傷のない側から左右の聴診を行います。呼吸音、左右差、減弱の有無がないか観察します。

③触診は上部から下部の順で行います。皮下気腫、圧痛、動揺、轢音(骨折部で骨がきしむ音)の有無を観察します。

④打診では鼓音(気体が溜まっている音)、濁音(液体が溜まっている音)の有無を観察します。

3)C:Circulation(循環)

循環の観察項目

循環管理が正常に行われているか観察を行いショックの早期発見に努めます。ショックの臨床症状は意識レベル、呼吸、循環、皮膚所見として表れます。

意識レベル原因:循環血液量の低下(脳血流の低下)、低酸素血症
症状:不安、不穏、虚脱、昏睡
呼吸原因:交感神経亢進、循環血液量の低下
症状:頻呼吸、下顎呼吸、徐呼吸、呼吸停止
循環原因:交感神経亢進、循環血液量の低下
症状:頻脈、脈拍微弱
皮膚所見原因:交感神経亢進、循環血液量の低下、汗腺の刺激
症状:冷感、湿潤、蒼白

ショックに対する処置内容

ショックへの処置として輸液療法と出血がある場合は出血部位の止血処置を行います。

JNTECでは輸液療法は39℃に加温した細胞外液を1~2L準備し、16~18Gで上腕正中の太い静脈に2本ルート確保することが推奨されています。ルート確保ができたらクレンメ全開で急速投与し、500ml入るごとに循環の再評価を行います。

ショックが改善しない場合は気管挿管(入れて)輸血(入れて)蘇生的止血術(止めろ)を視野にいれていく必要があります。

ショックの原因探索

ショックの原因探索としてFASTX線写真撮影があります。FASTでは血胸、腹腔内出血、心タンポナーデの有無を、X線写真撮影では胸部の大量血胸、骨盤骨折の有無を観察します。

4)D:Dysfunction of CNS(中枢神経の機能不全)

中枢神経の評価では「切迫するD」を認識することで、頭蓋外因子による二次性脳損傷を回避することを目的としています。

切迫するDとは

「切迫するD」とは中枢神経の機能不全の中でも重度な障害が発生している状態で、二次性脳損傷を最小限に留めるために早期治療介入が必要になります。

          切迫するD
1、GCSが8点以下(またはJCS30以上)
2、意識レベルの低下:前回評価時からGCS2点以上低下
3、脳ヘルニア徴候を疑う意識障害
  →瞳孔不同
  →片麻痺
  →高血圧を伴う徐脈(Cushing現象)
上記1~3の1つでも当てはまれば切迫するDと判断する
GCS
画像引用:https://slide.antaa.jp/article/view/c9ed5c3230054997

切迫するDの対応

1、A・B・Cの再確認と安定化 
  A→切迫するDがあれば全例で気管挿管を行う
  B→聴診を行い換気の評価をする
  C→バイタルサインに異常がないか確認する

2、Secondary Surveyの最初にCT撮影を行う
  ※CT撮影は必ずA・B・Cの再確認と安定化を終えてから行う

3、CT結果に応じた対応
  ・必要に応じて緊急手術の準備、輸血の準備、関係部署との調整を行う

画像引用:http://<a href=’https://jp.freepik.com/photos/medical’>Wayhomestudio – jp.freepik.com によって作成された medical 写真</a>

コメント

タイトルとURLをコピーしました